皆さんの職場では、メンタルヘルスケアに関する取り組みは行われていますか?メンタルヘルスケアは、働きやすい職場環境を作るうえで重要な課題のひとつです。今回は、経営者や人事の目線から、メンタルヘルスケアの重要性や具体的な進め方などを紹介します。
メンタルヘルスケアとは、従業員がいきいきと仕事に取り組める環境を整えるために、企業や従業員自身などが心の健康管理について取り組むことです。メンタルヘルスケアを通して、企業にとって重要な経営資源のひとつであるヒトのパフォーマンスの最大化を目指すことができます。
企業の社会的責任(CSR)や法令遵守の観点から、メンタルヘルスケアへの取り組みは重要です。上場企業では企業統治(コーポレートガバナンス)のガイドラインであるコーポレートガバナンスコードにより、従業員の健康管理の問題は経営上の重要な課題とされています。企業全体でメンタルヘルスケアに積極的に取り組むことで、健康経営を実現することができます。
安全配慮義務(=企業が労働者の心身の健康を守るために配慮すべき義務)を守るために、定期的に職場環境を見直すことが必要です。職場環境の悪化は従業員のメンタルヘルスを悪化させる原因となってしまいます。メンタルヘルスケアに取り組むことで、長時間労働や有給取得率などを見直し、従業員にとって働きやすい環境を実現できているのかを振り返ることができます。
2の職場環境の見直しにより働きやすい職場環境をつくることで、仕事でのミスや事故、従業員の欠勤や離職などを減らして業務効率を向上できます。また、ワークライフバランスやエンゲージメントの向上により、社内だけではなく採用にも良い影響を与えることができます。
職場環境の悪化により、企業のイメージダウンや株価下落に影響する可能性もあります。リスクマネジメントという観点からもメンタルヘルスケアは重要です。
メンタルヘルスのために必要な対策として、厚生労働省が推奨している4つのケアがあります。
従業員が自分自身のために行うケアです。セルフケアを通してストレスの予防・軽減・対処ができるように、ストレスや心の健康問題についての理解を深めます。セルフケアの目的は、不調を自力で完治させることではありません。自分で心身の変化に気づき、周りにサポートを求めたり自発的に相談することができるようになることを目指します。
セルフケアの例として、趣味がある人はストレス耐性が向上する傾向があります。マッサージやアロマテラピーなどでリラックスしたり、ウォーキングなどの有酸素運動、質の良い睡眠も効果的です。
管理職などの管理監督者に求められるケアです。具体的には、職場環境の改善や従業員からの相談への対応です。従業員の普段の行動からの変化や違和感を察知することで、早期発見や対処ができます。
一般的なストレスは配偶者や家族からのサポートが重要とされていますが、職場ストレスにおいては上司や同僚のサポートがより重要です。従業員から相談があった際は気持ちを十分に聴き、場合によっては産業保健スタッフや専門家への相談を促します。
産業医などが心の健康づくり対策の計画や提言、推進を行います。また、セルフケアやラインによるケアが効果的に行われるように、労働者と管理監督者への研修や情報提供、支援などを行います。
企業が抱える問題や求めるサービス、産業医がいない中小企業など企業規模などに応じて、専門家や事業場外の機関による支援の活用も有効です。
先ほど紹介した4つのケアが適切に実施されるように、それぞれの職務に応じてメンタルヘルスケアの教育研修や情報提供を行います。
メンタルヘルス不調を未然に防止するために、職場環境などの改善に積極的に取り組みます。また、職場環境などの把握と改善の活動を行いやすい環境を整備するなどの支援を行います。
従業員、管理監督者、家族などからの相談に適切に対応できる体制を整備します。必要に応じて産業医や事業場外の医療機関などへのネットワークを整備します。対応の際は、従業員のプライバシーが守られるように個人情報の保護に十分留意してください。
メンタルヘルス不調により休業した従業員が、円滑に職場復帰して就業を継続できるように適切な支援を行います。また、職場環境の改善などの再発防止策にも取り組みます。
誤解や偏見が生じないように、心の健康問題の発生過程は年齢・性別・性格など個人差が大きいことを理解しましょう。
プライバシーへの配慮や本人の意思を尊重することで、従業員が安心して相談できる体制を整備しましょう。緊急対応を要する場合などは、情報提供が優先されるケースがあります。
職場配置、人事異動、組織など人事労務管理と密接に関連しています。メンタルヘルスケアは、人事労務管理と連携することで進めやすくなります。産業保健スタッフとの連携も重要です。
ストレスの原因はひとつではないケースが多いです。家庭など職場以外の問題が複雑に関係していることを理解しましょう。
勤務上の問題やハラスメントの相談、その他プライベートな問題に関する相談窓口を設けています。相談しやすいメンバーを選んで、プライバシーを守られた状態で相談ができます。
長時間労働防止のため、毎週水曜日をノー残業デーとしています。ネクストライブの平均残業時間は月14時間で、残業をする場合は事前申請が必要です。決まった時間内でメリハリをもって働くことで、仕事もプライベートも充実できる働き方を実現しています。
経営課題としてメンタルヘルスケアに取り組むことで、従業員を守り健康経営を実現することができます。メンタルヘルスケアへの理解を深めて職場で実施することで、従業員が安心していきいきと働ける職場環境を実現しましょう。